有機農業大全 第3章 「農の本質を抱きしめていく有機農業」宇根豊氏
技術資料
2020/02/25
日本有機農業学会より出版された『有機農業大全-持続可能な農の技術と思想-』 は、
想像以上に読み応えがあり、内容豊富な刊行物です。入手購読お薦めの一冊です。
以下は、有機農業大全 第3章「農の本質を抱きしめていく有機農業」宇根豊氏 を読んでの感想です。
仏道をならふというふは、自己をならふなり。 自己をならふといふは、自己をわするるなり。
これは、正法眼蔵にある有名な教えですが、
宇根豊氏の言(以下)より、上記正法眼蔵を想起しました。
草取りは、何よりも仕事に没頭し、天地自然と一体になる境地を身に着けることができる。
宇根豊氏の語りは、没我没入、万物と一体になり無分別智に至ることを教えてくれています。
全身全霊で全ての所作に没入することにより、
観念の奴隷から解放される禅に通ずると思います。
又、無意識を優位にすることが、心を調える
肝であることを教えてくれている気がします。
臨済宗円覚寺横田南嶺官長は、
悟りとは、ひっからずにさらさらと。
こう教授してくれました。
薬師寺管長故高田高胤師は、
偏らない心、こだわらない心、とらわれない心、広く、広く、もっと広く般若心経、空の心なり。
と教えてくれています。
般若心経の読経を日課としている方なら、この心境が理解できると思います。
話は変わりますが、日本的霊性 (鈴木大拙著)では、
日本的霊性は鎌倉時代の仏教、特に浄土系思想と
禅において顕現したと説いています。
大拙先生は、親鸞が越後に配流されたことに着目していて、
大地に生きる人々の中に生きることにより、京都的公家的上皮部文化から
脱することができたと見ています。日本的霊性は、大地に根差す農民により
浄土系思想を通じ、命をやり取りする鎌倉武士の精神が禅を通じて発露されたと。
傲慢の傲は、人 + 土 + 放の会意文字です。
大地から産み出される作物に、我々を生かされています。
有難い(有ることが不思議なくらい難しいのに。。。)。
禅・東洋思想は、必ず、自然からの学びを教訓としていますが、
大地に生える草との向き合い方いかんでも、
誰でも人生の真理を学ぶ事が出来ることを
改めて気付かせていただきました。
草々
参考:草取りの心得